2025年10月02日
お子さまが幼稚園で過ごす3年間を、どのような思い出にしてあげたいでしょうか。「たくさん遊んだ楽しかった思い出」か、「たくさんお勉強した思い出」か、これは多くの保護者の方が、一度は考えるテーマです。
もちろん、どちらが良い悪いではありません。ですが、幼児教育の専門家としてお伝えしたいのは、幼児期にしかできない経験がある ということです。
3歳から6歳の時期は、脳と心と体が飛躍的に成長する大切な時期です。この時期に必要なのは、机に向かって文字や数を早く学ぶことよりも、「心と体の土台を育むこと」 です。遊びを通して得られる喜びや失敗、工夫や挑戦は、のちに学習意欲や社会性につながっていきます。
たとえば園庭での砂場遊び。子どもは山や川を作りながら、自然と物の仕組みを学びます。友だちと一緒に遊べば、順番を譲ること、思いを伝えること、時にはけんかをして仲直りすることを経験します。これこそが 社会性の基礎 です。また、自然の中で見つけた虫や草花への関心は、科学的な探究心の芽生えになります。
一方で「お勉強の思い出」はどうでしょうか。確かに、文字や数に早く触れることで、小学校に入ったときにスムーズに感じることもあります。しかし、学びそのものは小学校から本格的に始まりますし、後からいくらでも取り戻すことができます。幼児期に必要なのは、学ぶことを楽しむ心の準備 なのです。
つまり、遊びと学びは対立するものではなく、遊びの中に学びがあり、学びの根っこが遊びの中に育つのです。 「楽しく遊んだ3年間」は、同時に「たくさん学んだ3年間」にもなるのです。
私たち栄幼稚園では、この考えを大切にしています。子どもたちが心から遊びこむ姿を大切にし、その中で数や言葉、自然科学、社会性といった“学びの芽”が育つように環境を整えています。
3年間で子どもが残す思い出が「たくさん遊んで楽しかった」ものであれば、きっとそれは「心が豊かになり、自ら学びたい気持ちを持てるようになった」という証です。そしてそれこそが、小学校以降の学びにスムーズにつながり、一生を支える力になります。
保護者の皆さまにお願いしたいのは、ぜひ「3年間をどんな思い出にしてあげたいか」を想像してみてください。遊びを通じて笑い、泣き、考え、挑戦した思い出は、お子さまの人生の中でかけがえのない宝物となります。
私たちは「遊びの中でこそ育つ学び」があると信じています。栄幼稚園で過ごす3年間を、どうかお子さまにとって「心から楽しかった」と言える時間にしていただきたいと願っています。