家庭で育つ“安心の力”(家庭での過ごし方)

2025年10月22日

―幼児教育とつながる、もうひとつの学びの場―

幼稚園で過ごす一日は、子どもにとって“小さな社会の体験”です。
友だちと関わり、挑戦し、時にはぶつかりながら、自分の思いを伝える力や人とつながる力を少しずつ育てています。
そして一日の終わりに帰る家庭は、子どもたちにとって心を休める場所です。

子どもたちは、園でたくさんの刺激を受け、全力で一日を過ごしています。
だからこそ家庭では、「またがんばるための充電の時間」が何よりも大切です。
特別なことをする必要はありません。
お母さんやお父さんが「おかえり」と迎えてくれる声、一緒にご飯を食べる時間、寝る前の少しの会話。
そうした日常の中に、子どもは安心を感じ、自分の存在を確かめています。

安心感は、子どもの“心のエネルギー”の源です。
安心があるからこそ、次の日また挑戦しようという意欲が生まれます。
もし、泣いたり、怒ったり、わがままを言う姿があっても、それは家庭でしか出せない「本当の自分」を見せられている証拠。
家庭は、子どもにとって“素のままでいられる場所”であってほしいのです。

園と家庭は、両輪のような関係です。
園が「社会性を学ぶ場」なら、家庭は「愛情を受け取る場」。
園での経験を、家庭で安心に変えることで、子どもの中に“人を信じる力”や“自分を信じる力”が育っていきます。

忙しい毎日の中で、すべてを完璧にこなす必要はありません。
たとえ短い時間でも、子どもと目を合わせてギュッと抱きしめて「今日も1日よく頑張ったね、えらかったね」「大好きだよ」と声をかけてあげてください。
それだけで十分です。その小さな対話が、子どもの心に“安心の根”を張らせます。

子どもは、家庭で守られ、愛されることで、外の世界で大きく羽ばたく準備をしています。
幼児教育と家庭教育は切り離されたものではなく、一つの流れとして、互いを支え合う関係です。
園での学びと、家庭での温もり。
そのどちらもが、子どもの「生きる力」を育てる、かけがえのない時間なのです。